粉ミルクを毎回熱湯で溶かして、その後人肌の温度まで冷ますのって面倒ですよね。
でも、そうしなければならない理由があります。
それは、粉ミルク中の病原菌を殺菌するためです。粉ミルクは無菌ではありません。
ごく微量ですが、 「Cronobacter sakazakii (サカザキ菌) 」が混入してしまうのです。
サカザキ菌は、ヒト・動物の腸管内やトウモロコシ、キュウリ、レモンといった果実・野菜からも検出されることがあります。乳児 、特に未熟児や免疫不全児、低出生体重児を中心として「敗血症」や「壊死性腸炎」をおこすことがあり、重篤な場合には「髄膜炎」を併発することがあります。成人が感染した場合は、その症状はかなり軽度であるとされています。
サカザキ菌はサルモネラ菌と比べて、粉ミルクの製造環境により多く存在することがわかっています。が、厚生労働科学研究によると、日本の製品に含まれる量はごく微量で、333g中に1個と報告されています。
サルモネラ菌は、主にヒト・動物の腸管内に生息する細菌で、数多くの種類があり、中にはチフス性疾患をおこすものや、下痢、発熱といった食中毒をおこすものがあります。
サルモネラ菌は、粉ミルクの製造過程では混入することはほとんどありません。粉ミルクを開封した後、粉ミルクを溶かすときや溶かした後に混入することがあるようです。
サカザキ菌もサルモネラ菌も、乾燥した粉ミルクの中で長期間生存することが可能です。
乾燥した粉ミルクの中で増えることはありませんが、生存は可能です。つまり、開封後の粉ミルクに混入して、長い間生存することも考えられます。 (サカザキ菌は乾燥した粉
ミルク中で 1 年以上生存したという報告もあります。 )
粉ミルクを溶かすときに使う哺乳瓶やスプーン、授乳に使う乳首が菌に汚染されている場合もあります。
溶かした後の粉ミルクの中のサカザキ菌とサルモネラ菌は、5℃以下に保つことで増えるのを抑えることができますが、これより高い温度(室温など)に置かれた場合は、急激に増える恐れがあります。適切な方法で粉ミルクを溶かしたり保存したりすれば、サカザキ菌やサルモネラ菌に感染するリスクを減らすことができます。
粉ミルクは70度以上の熱湯で溶かしましょう。全体の三分の一くらいののお湯で溶いてしっかり加熱してから白湯で薄めるて冷ますのもOKです。ちなみに、熱湯で溶いてもミルクの大事な成分は壊れないので安心してください。液体ミルクは缶に入れられている時点で殺菌されてるので加熱不要です。また、フォローアップミルクについては、それを飲む頃にはサカザキ菌の感染リスクは低いので、水で溶かして大丈夫です。
詳しく知りたい方は、乳児用調整粉乳の安全な調乳、保存及び取り扱いに関するガイドライン(FAO/WHO)を見てみてください。

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