☆アレルギー疾患
アレルギーというと花粉症や喘息、食物アレルギーなど身近な疾患だと思います。年々アレルギー疾患は増えており、国民の3分の1は何らかのアレルギー疾患を持っているという調査もあります。大人になってからよりも子どもの時に発症することが多く、発症年齢が年々低年齢化してきています。
アレルギー疾患は次の2つの要因が複雑に絡み合い、発症していくと考えられています。
・子ども自身の要因=遺伝や成長段階
・環境要因=食べ物やハウスダスト、大気汚染、ウイルス感染等
☆アレルギーマーチ
アレルギーになりやすい要因をもつ子どもが成長するにつれ、行動が拡がったり、接触するアレルゲン(アレルギーをおこす物質)が増えることで、いろいろなアレルギー疾患に順番にかかっていく様子をたとえたものが「アレルギーマーチ」です。
アレルギーマーチを防ぐためには、アレルギーの発症に、できるだけ早く気付くこと、適切な治療と管理により症状をコントロールしてひどくならないうちに対処していくことが大切になります。
☆アレルギーの特徴と早期発見のポイント
・乳児期(0~2歳)食物アレルギー、アトピー性皮膚炎が始まる時期です。
●食物アレルギー
蕁麻疹等の皮膚症状、ぜーぜーするなどの呼吸器症状、下痢や嘔吐などの消化器症状
これらが現れた場合はいつ、何を、どれだけ食べたか、繰り返すかを確認し受診します。
●アトピー性皮膚炎
全体的な乾燥肌、かゆみを伴う湿疹が2か月以上続く、左右対称の湿疹
※乳児は顔や首、耳にでやすく、幼児期以降は首、関節部にでやすくなります
生まれた直後から保湿剤等でスキンケアを行ない、上記の症状がでた場合には小児科や皮膚科を受診します。
・幼児期(2~6歳)乳児期のアレルギーが良くなることもある時期ですが、ダニやハウスダストによるぜん息を発症しやすくなります。
●ぜん息
ぜーぜー、ヒューヒューという呼吸の音がする、風邪等の後に咳がなかなか収まらない、または良くなって悪くなるを繰り返す、夜から明け方に症状がでやすい、季節の変わり目や環境がかわると症状がでる
発作の原因となる物質(ダニやハウスダスト)を少なくすることも重要ですが、発作を繰り返すことで、さらに症状が悪化していくため受診し適切な薬を使うことで発作を改善するのではなく、発作そのものを起こりにくくします。
・学童期・思春期(6歳頃~)身体が発達し、ぜん息が良くなる人がいる一方アレルギー性鼻炎が増えます。
●アレルギー性鼻炎
水のような鼻水が長く続く、鼻づまりがひどく夜眠れない、口呼吸をしている、いびきをかく
症状が続く時は耳鼻科を受診します。学童期・思春期には保護者の目の届かないところで症状があったり、薬の管理から子どもが自分で管理することが多くなるため、子どもによっては早期発見が難しく治療ができていない場合があります。
アレルギー疾患を完全に防ぐことはできませんが、早めに見つけ早めに対処が大切ですので、皆様のご参考にしてください。

独立行政法人環境再生保全機構 特集 子どもの成長とアレルギー「アレルギーマーチ」から学ぶアレルギー疾患の予防と管理 より引用
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