口唇口蓋裂は、口唇(上唇)や口蓋(上顎・口の天井部分)が割れてしまうことがある生まれつきの病気です。
口唇や口蓋の割れは口の片側もしくは両側に現れます。また鼻から喉の奥更に口蓋垂(喉の奥にあるやわらかな突起)にかけて割れが見られることもあります。
☆割れ方のタイプ
1.上唇が割れる(口唇列)
2.上唇と歯茎がわれる(口唇顎裂)
3.上唇、上顎から口蓋水まで割れる(口唇口蓋裂)
4.上顎だけがわれる(口蓋裂)
☆口唇口蓋裂のエコー検査で分かる事
割れ方により発見できるときと、発見できないこともあります。
タイプ1の口唇列では生まれる前のお母さんの中を映し出すエコー検査(超音波検査)では赤ちゃんの顔の造形や特徴を見ることが出来る為です。
エコーの描写が上手くいけば、目の位置や顎の位置等の特徴がそのまま現れ、口唇裂の有無が概ね推測することが出来ます。
ただし移り方や赤ちゃんの姿勢により上手く映らないこともあります。
一方でタイプ4の口蓋裂はエコー検査では赤ちゃんの口の中までは映らない為調べることが出来ません。
☆いつ頃発見されるのか
エコー検査によって口唇裂が発見される時期は、早くて妊娠20週目頃です。しかし30週目以降で発見されることも多く見られます
☆エコー検査の所見と出生後の症状は異なる場合もあります。
あくまでエコー検査はお腹の中を超音波を通して映し出すため移り方や姿勢などにより見え方が異なり、全ての異常が明らかになる訳ではありません。
そのため確定することが出来ません。
口唇口蓋裂の診断は出生後に初めて確定的になります。
エコー検査の所見と出生後の症状は以下のような場合に異なることがあります
・エコー検査では口の片側が割れているようだったが出生後に両側の割れが確認された。
・エコー検査では口唇裂が診られたが出生後に口蓋裂もある事がわかった
などがあげられます。
☆原因
遺伝子異常・妊娠中のたばこ、ストレス、服薬等が可能性としてはあげられますが多くは原因不明である。
☆治療
口唇列・口蓋裂のお子様の健全な成長が最終的な治療目的です。
そのためその子の成長に合わせて治療します。
1)口唇の形と役割の異常に対して
手術によって唇を形作ります(生後3ヶ月4か月ごろに全身麻酔下にて口唇形成術を行ないます)
2)授乳に対して
口腔内装置と口蓋裂用乳首を用いて、哺乳の手助けを行う。
のどちんこを閉じる手術を行うまでは装置を乳首を用いる
1歳ごろに全身麻酔下にて軟口蓋形成術を行う
3)言葉(構音)に対して
口蓋裂のあるお子様は言葉を発する時に、健常なお子様と違った方法を用いることがある為、それが習慣化しその後も癖として残ってしまうことがありますそうならない為にも言葉の専門家による言語訓練を手術が無事におわってから開始する必要がある
~おわりに~
お子さんに口唇口蓋裂があると分かった時とても不安に思われ心配されたかと思います。
しかし、多くの口唇口蓋裂は適切な時期に適切な治療を受ければ他の子どもと同じように生活出来るようになります。社会生活には支障が無い事がほとんどです。
その診断を生かして必要なケアやサポートを受けれるように気軽に病院に相談してください。
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