top of page
NS吉岡

口腔ケアについて


皆さんが毎日行っている口腔ケア(歯磨き)は、お口の中の清潔を保つだけでなく、体全体の健康を維持するためにとても大切な事です。口腔ケアの効果やポイントについてお話していきます。


【高齢者の口腔問題】

1)唾液量の低下

↳唾液は口腔内を清潔に保つ役割があります。高齢者は唾液量が低下してしまうので、自浄作用の低下や口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病の進行につながります。

2)味覚が変化する

↳口の中の自浄作用の低下から、舌苔(細菌や食べかすなどが溜まり、舌に白い苔状のような固まりが付着している状態)が付きやすく、味を感じにくくなります。

3)入れ歯が多い

↳入れ歯と粘膜の隙間に細菌が繁殖しやすくなります。また入れ歯が合わないと、出血したり痛みを感じ、口腔内を傷つける原因となります。


【口腔ケアの効果】

1)唾液の分泌を促してくれる

↳口の中を清潔にすると、唾液の分泌が促進されます。唾液は、歯や口の粘膜を保護したり、自浄作用があるので、虫歯や歯周病の予防にも繋がります。

2)誤嚥性肺炎の予防

↳嚥下機能が衰えると、食べ物や唾液が気管に入ってしまう事があります。この時、口腔内の細菌が肺にはいって起こるのが、誤嚥性肺炎です。口の清潔を保つ事で、予防する事ができます。

3)認知症の予防につながる

↳食べるという行為は、脳に刺激を与えたり、酸素を送ったりするため中枢神経を活性化し認知症を予防するといわれています。

4)感染症や発熱の予防

↳口の中にはたくさんの菌が存在するため、歯磨きを怠ると感染症や肺炎にかかりやすくなります。

5)口腔機能の低下を防ぎ、身体機能の維持・向上につながる

↳高齢者は噛む、飲み込む、呼吸する、話すといった口腔機能が低下しやすいです。そうなると、栄養不足となり免疫力低下や摂食障害に繋がってしまいます。口腔ケアを行い、口腔機能を向上・改善することで、体全体の回復が期待できます。


【口腔ケアのやり方】

1)口腔内の観察

歯の状態や乾燥の程度、歯石や口臭、出血の有無、歯肉の腫脹や炎症、舌状態などの観察をし、ご自身の口腔内の状態を把握しましょう。

2)うがい、口腔内の保湿

口腔内が乾燥していると、汚れが口腔内にこびりつき口腔ケアがしづらいです。

また傷つけて出血する可能性もあります。そのため、水や保湿剤を含ませたスポンジブラシやガーゼで保湿しましょう。この時、水を含んだらよく絞ってください。水分量が多いと誤嚥してしまう可能性があるので注意しましょう。この時、口腔粘膜をマッサージする事で唾液分泌を促します。

3)粘膜ケア

舌、頬の内側、上顎のケアをします。粘膜は傷つきやすいので、優しくスポンジブラシで行いましょう。あまり奥の方に入れすぎると嘔吐反射を誘発してしまうので注意しましょう。

舌のケアには舌ブラシが有効です。

4)歯の洗浄

歯のブラッシング方法は4つあります。

①スクラッピング法:歯ブラシの毛先を直角に当て、前後に小刻みに磨いていく方法。歯の外

側を磨く効果的な方法です。

②バス法:歯ブラシの毛先を45度の角度で当てて細かく振動させる方法。歯石になりやすい歯周ポケットの部分を磨く方法です。

③ローリング法:歯ブラシの毛先を垂直に当ててくるくると移動させながら磨く方法。細かな動作が苦手な方に向いています。

④フォーンズ法:上下の歯の先端と先端を合わせた状態で、歯ブラシの毛先を歯の表面に垂直に当て、上下の歯を同時に円を描くように磨く方法。小児や身体障害者に適しています。


5)うがい、保湿ケア

乾燥予防のため保湿剤を口腔粘膜に薄く擦り込むように塗ります。

保湿剤の塗りすぎは汚れや誤嚥の原因になるので注意しましょう。


●絶食や意識障害などの理由からお食事を食べていない人も口の中が乾燥し汚れ自浄作用も低下するため、誤嚥や肺炎予防のために口腔ケアは必要です。

●口内炎、潰瘍、出血のみられる方でも、毎日の口腔ケアが必要です。ガーゼやスポンジの使用、またこまめなうがいで清潔を保つ事で治りも早まります。

●寝たきりや認知症などご自身で歯磨きをするのが困難な場合、ご家族様の介助、または訪問看護師が安全に考慮し実施します。



最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page