近年、医療の発達により、従来なら入院を余儀なくされていた子どもたちも、自宅で家族と一緒に過ごせるようになってきました。
厚生労働省の全国調査によると、医療的ケア児の数は2007年の段階で、8438名おり、2019年では20155名と、およそ2倍に増加します。
子どもの場合は、一般的な医療的ケアやリハビリに加えて、成長や発達への援助、就園・就学などの教育面でのサポートも大切になってきます。
小児の訪問看護では、看護師やセラピストがご自宅へ訪問し、お子さまの成長や発達、ライフスタイルの変化に合わせてケアを行い、お子さまとそのご家族が安心して在宅生活を送れるようにサポートしていきます。)
近年、子どもの訪問看護についてどのようなことが行われているか、また、対象者や料金などについて質問の声が多く聞かれます。今回は、子どもの訪問看護の仕組みについてお話していきます。
●どんな子どもが訪問看護受けれるの?●
訪問看護を利用できるのは、専門職者のアドバイスがあった方や子育てを安心してできるようにサポートが必要と医師が判断した方々です。医師より訪問看護指示書を記載していただければ、訪問看護をスタートできます。
具体的には次のような場合です。
・子育ての不安が強い方・悩んでいる方
・発達障害・多動性障害、自閉症スペクトラム
・お友達とうまくいかない(対人関係がうまくいかない)
・落着きがない、学校での勉強が遅れがちになっている
・低出生体重児で生まれた
・医療機器を家庭でも必要としている
・お母様の体調が優れない
●訪問看護は誰が訪問にくるの?どんな事をしてくれるの?●
訪問看護は看護師以外にも、セラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が訪問します。訪問時の内容は以下にまとめました。
看護師
★医療ケア(人工呼吸器・酸素吸入・気管切開・吸引・経管栄養など)
医師の指示をもとに人工呼吸器の管理や吸引などの呼吸管理、経管栄養などを行います。
また、状態が悪化した場合は電話相談サービスや、必要に応じて緊急時の訪問、医療機関への連携などを行います。
★清潔ケア
人工呼吸器や医療器具を付けていると、入浴が難しかったり、家族だけでは手が足りない場合があり、ご家族のお手伝いを行います。また、入浴できない場合は足浴や清拭などで気持ちよく過ごしていただけるよう援助します。
★症状観察
状態の観察は重要です。大きな変化ではなく、細かな変化に気づくことにより、病状の悪化を防いでいきます。
理学療法士(PT)
★身体機能の向上
身体(筋肉や関節)、または心肺機能といった生活に必要な機能向上を援助します。発達の遅れに対して、その子に必要な運動や遊びを提案し、身体機能に合わせた福祉用具の選びや環境の調整も行います。
★基本動作の練習
立つ、歩く、寝返る、起き上がるなどの身辺自立に向けたスキルや遊びの方法を提案していきます。
★発達段階に見合った支援
お子さまの興味や関心に応じた遊びの方法を提案していきます。
個人の発達段階にあったスキル習得や遊びの方法を提供しそれぞれの変化に合った支援を行います。また、体を使った非言語的コミュニケーションにより社会性の発達も促します。
作業療法士(OT)
★感覚統合
上手く感覚を分類して整理することが苦手な子や生まれつき感覚が過敏な子や鈍感な子に対し、その子が興味の持ち、楽しいと思える遊びや運動を行い、未熟だったり苦手だったりする部分を伸ばしていきます。
★日常生活動作のトレーニング
日常生活(着替え、片付け、食べるなど•••)の中での動きが苦手なお子さまに対し、身体機能の回復や体の動かし方や道具の使い方のトレーニング、福祉用具の提案や自助具の作製などを行います。
★心理・精神への働きかけ
日常生活において生じた不安や混乱を、作業活動を行うことによって和らげ、自信へと繋げていきます。
言語聴覚士(ST)
★ことばの遅れ
知的発達の遅れや対人関係の障がい、言語機能の発達が遅れているお子さまに対して、言葉の拡大や興味の幅を広げる関わりをします。
「話しことば」の獲得とともに、「ことば」以外のコミュニケーション手段の獲得を目指すこともあります。
★摂食・嚥下
食事時の姿勢や食べ方、口や舌、喉などの動きのトレーニングを行い、食べること・飲み込む練習を行います。
そのほか、検査や観察を行い、評価によって問題点を把握し、食事の種類や形状なども検討します。
★発声・発音
「構音障害」や「吃音」など、発音が不明瞭だったり流暢に話すことが難しかったりするお子さまに対し、舌や喉など、話すときに使う器官をうまく動かすためのトレーニングを行います。
○その他のサービス○
• 出産病院やNICU退院後の育児支援
• 社会資源のご相談
• 難病疾患等の在宅支援・療養相談
• 家族の休息や行事など、目的に合わせた長時間訪問(レスパイト)
●料金はいくらぐらいですか?●
0歳から15歳になった日以後の最初の3月31日まで(中学校第3学年修了まで)の子どもであれば本来自己負担となる医療費を助成乳幼児医療証(マル乳)または子ども医療証(マル子)をお持ちの為、自己負担はありません。(レスパイトや一部別料金になる事があります。)
●まとめ●
小児の訪問看護はお子さまとご家族の生活に寄り添い、療養上のお困り事をお手伝いしていきます。お子さまの成長と発達に合わせて、多職種が連携しながら一人ひとりに合った方法を考え、ご家族と共有し、自宅で健やかに成長できるようにサポートしていきます。
小児訪問看護看護についてご興味のある方は、是非当ステーションまで御問合せ下さい。
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