今回は終末期を迎えるにあたっての準備についてお話ししていきます。終末期を迎えるにあたって、なぜ準備が必要なのでしょうか。それは、準備をしておく事で、ご自身の希望を実現することができ、また家族に迷惑をかけたくないという思いを叶えることにもつながるからです。
準備のまず一歩は、知る事です。終末期医療にはさまざまな選択肢があります。どこで最後を迎えられるのか、誰がケアをするのか、費用はどれくらいかかるのか‥といった事柄を知ることが第一歩です。次にどのように最期を迎えるかを現実的に考えることです。病院か、老人ホームか、ご自宅か‥。老人ホームに入りたいと思っていても、費用面で厳しいこともあるかもしれません。ご自身やご家族の状況をしっかり把握し、叶えたいことが実現可能か見極めましょう。最後に、ご自身の考えを家族に伝える、話し合うことです。本当は最後を住み慣れた自宅で過ごしたかったけれど、家族に迷惑をかけたくないからと考え、在宅ケアを選ばなかったが、実は家族は自宅で過ごさせてあげたかったというケースが多々あります。また、延命治療について意思表示していなかったことにより、家族が困ってしまったケースも実際にあります。家族間でしっかりと話し合い、お互いが納得のいく選択ができるようにしましょう。
■在宅での終末期医療
最期を迎えたい場所という質問に対して、多くの方が「自宅」を選択しています。前回お話ししましたが、在宅での看取りでは、残された時間を家族と一緒に過ごせることが本人、家族とって大きなメリットになります。しかし一方で、家族の介護負担や双方の精神的な負担が発生します。そのような負担を軽減するためには、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
・ケアマネージャーや在宅医を見つける
まず、地域包括支援センターに行き、在宅医療や看取り関して助言ができるケアマネジャーについて相談します。同時に、在宅医も探しましょう。かかりつけ医がいる場合は、往診が可能かどうかの確認をし、可能ならば看取りまで対応してくれるかどうかの確認、相談をします。かかりつけ医がいない場合や、かかりつけ医がいても24時間対応や看取りまでの対応が困難な場合は、地域包括支援センターやケアマネージャーから在宅医を紹介してもらいましょう。
・看取りチームの編成
ケアマネジャーと在宅医が決まれば、経過や病状、家族の介護力など踏まえ、在宅医とこれから自宅でどのような療養生活を送りたいかを話し合います。本人や家族の状態に応じて、在宅医や訪問看護師などで編成する看取りチームを作ります。
・穏やかな環境作りや心構えを持つ
看取りチームの専門職たちは、在宅の看取りを支えてくれますが、看取りのキーパーソンは本人の一番そばにいる家族です。本人が穏やかに過ごせる環境を作ることも大切です。自宅の環境づくりで大切な事は、できるだけこれまでと変わらない雰囲気にすることです。
在宅での看取りは、家族にある程度の覚悟が必要になります。介護疲れや日に日に変化していく状態に辛くなってくる事もあるかと思います。在宅医と訪問看護師に、これからどんなことが起こり得るか、その時どんな対処をするとよいかを聞いておき、イメージをもつことも大切です。次回は、終末期の体の変化やご家族ができる事 などについてお話ししていきます。

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