指差しとは、言葉を習得する前の赤ちゃんの非言語によるコミュニケーション手段の1つです。
赤ちゃんは言葉で気持ちを伝えることができないため、ほしいものや興味の対象を相手に伝えたり、問いかけに対する答えを示したりするために指差しをします。
泣くことでしか意志を伝えられなかった赤ちゃんが、指差しをすることで意思表示をするようになり、成長に応じて指差しの意味が変化し、バリエーションが増えていきます。
◉生後10ヵ月頃から 興味の指差し
赤ちゃんの初めての指差しが見られるのは生後9〜10ヵ月頃。赤ちゃんが興味のあるものに対して指を差す行動が見られるようになります。生後10ヵ月頃の赤ちゃんはさまざまなものに興味や関心を持ち、好奇心がとても旺盛な時期です。指差ししながら親子で会話を楽しむことで、新しい発見や学びの機会も提供できるでしょう。指差すものを口頭で説明してあげることで、発語を促すこともできます。
◉1歳〜1歳2ヵ月頃から 要求の指差し
1歳から1歳2ヵ月頃の赤ちゃんは、自分の欲しいものや行きたい方向を指差しで示すことがあります。言葉をまだ話せない赤ちゃんが、自分の要求をかなえる手段の一つとして指差しを使っているのです。また、指を差しながら声を出して何かを要求する場合もあります。
◉1歳〜1歳6ヵ月頃 叙述・共感の指差し
1歳から1歳6ヵ月頃の赤ちゃんは、自分が好きなものや興味のあるものを知ってほしいと思う「共感の指差し」や「感動の指差し」をします。1歳を過ぎると指差しをするだけでなく、何か発語しながら指差すことも増えてきます。声を出して対象を指差し、大人の注意を引こうとします。赤ちゃんの興味や感動に対応し、興奮や喜びを共有してあげることも赤ちゃんの成長にとって重要です。
◉1歳6ヵ月頃から 質問・理解・応答の指差し
1歳6ヵ月頃からの赤ちゃんは、大人からの質問に対し物や方向などを指さして答える行動ができるようになります。指さし行動の完成形であると考えられています。母親が「ママのお鼻はどれ?」と聞くと、赤ちゃんが母親の鼻を指差すような場合です。赤ちゃんが指を差してコミュニケーションをとる最終段階であり重要なステップです。この後、言葉の発達が進むにつれて指差しは減少する傾向があります。
指差しはまだ上手におしゃべりができない赤ちゃんにとって大切なコミュニケーション手段の一つです。指差しで、自分の関心を共有したり、何かを要求したり、気持ちを伝えたりする赤ちゃんとの交流は、この頃しかできないものです。いまはまだ指差しに興味を持てない子でも、大人が楽しそうにしていると興味を持ってくれるかもしれません。それでも指差ししないなど、違和感を感じて悩むことがあったら、専門機関に相談してくださいね。
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