MRSAという言葉を聞いたことがありますか?
MRSAという細菌は、体の中に入ると病気になることがあります。
この細菌は、普通の薬ではなかなか治らないので、注意が必要です。
特に高齢者は、重篤な症状となる可能性があります。
ただMRSAは、専門の医者に診てもらって、適切な薬を飲むことで、きちんと治すことができます。
今回は、MRSAの症状や、感染対策、治療薬などについてお話していきます。
日本語ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌といい、細菌の一種です。
このMRSAに感染することをMRSA感染症といい、感染する部位によって様々な症状をきたします。
簡単に言うと普通の抗菌薬(抗生物質)が効かない細菌のことをMRSAといいます。
黄色ブドウ球菌というのは、人間の皮膚や鼻の中などに普通に住んでいる細菌の一種です。
MRSAの種類
MRSAには、以下の3つの種類があります。
院内感染型MRSA(HA-MRSA)
市中感染型MRSA(CAーMRSA)
家畜関連型MRSA(LAーMRSA)
家畜関連型MRSAは、豚などの家畜に関わる仕事または獣医師などに関連するMRSAであり、一般的には問題となることがほとんどありません。
問題になることが多いのは、院内感染型MRSAと市中感染型MRSAです。
院内感染型MRSAは、たくさんの種類の抗生剤に強い(多剤耐性といいます)ので、治すのが難しいことが多いです。
特に高齢者は、院内感染型MRSAにかかることが多いのです。
では黄色ブドウ球菌とはどのような細菌なのでしょうか?
黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔などに健常な人でも存在することがあり、そのままでは悪影響を認めません。
ただし傷口に感染することで皮膚を化膿させたり、傷口から血液に感染することで体内に菌の塊を作ったりすることで発症することがあります。
また、感染が全身に広がることで毒素が広がり発熱などの全身症状を起こすこともあります。
今回は、主に院内感染型MRSAに関して説明します。
院内感染型MRSAは、病院や老人ホームなどに多く存在しています。
また、入院していなくても病院によく行く人にもうつる可能性があります。
感染経路としては基本的にはMRSAを持っている人や、
物を触ったことによる接触感染です。
誰しもがその感染源になり得ます。
MRSAは感染した部位によって症状が異なります。
肺に感染した場合はMRSA肺炎といって、熱やせき・痰(たん)から始まり、重症化すると呼吸困難などになります。
MRSAが血液に入って体中にMRSAが広がることをMRSA菌血症といいます。
このMRSA菌血症は、点滴の針や心臓のペースメーカーなどの体の中に入れる機械が感染経路となることが多いです。
症状としては、長期間熱が出て、熱の原因がわからず診断が遅れることが多いです。
また、MRSA菌血症となりMRSAが全身に広がることで心臓内に菌の塊ができることがあります。
これをMRSAによる感染性心内膜炎といいます。
発熱に加え、心臓機能の低下による下肢のむくみや呼吸困難が出現することがあり、注意が必要です。
MRSAが皮膚の傷口に感染した場合は皮膚軟部組織感染症といい、傷口が化膿する症状が現れます。
その他のMRSA感染症として手術後の腹腔内感染や関節内感染がありますが、手術後に発症することから診断は比較的容易です。
上記のようにMRSAは感染する部位によって様々な症状をきたします。
ただし、症状からだけでは、MRSAの感染を疑うことは困難です。
それでは、なぜ高齢者はMRSA感染症になりやすいのでしょうか?
高齢者が感染するMRSAは、院内感染型MRSAです。
この院内感染型MRSAは、抗生剤をたくさん使う病院や老人ホームなどで多く存在しています。
そのため、高齢者は若い人よりも院内感染型MRSAに触れる機会が多くなります。
また、院内感染型MRSAは感染力はあまり強くありません。
体力のある若い人にはあまり感染することはありませんが、高齢者や免疫の弱った人に感染しやすい特徴があります。
次回は感染対策や治療薬についてお話していきます。
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