流涎とは唾液が無意識に口腔外にもれること、いわゆる「よだれ」で唾液分泌過多とは異なります。定型発達児では生後18ヶ月くらいでほとんど見られなくなり、それ以降は疲れた時、何かに集中している時など状況によって認められることはありますが、4歳までに消失するとされます。流涎は脱水や感染のリスクだけではなく口腔周囲の皮膚の炎症などの医学的問題に加え、匂いや衣服の交換など介護者の負担増といった心理的・社会的問題にもつながります。また、流涎のある子供は構音機能も未熟であることが多いため、スピーチも含めた対応が必要であることも少なくありません。
◉流涎と口腔機能の関連
流涎が認められる児の口腔機能の特徴として、①舌の挙上(押しつぶし、移送)②口唇をすぼめる動き③舌で口唇の周りを舐める動作④ブローイングのような吹く動作が苦手だと報告されています。
◉どのような対応をするか?
口腔の機能に問題があり、唾液を咽頭に送り込む力が不足している場合は訓練で舌の挙上やそれによる移送能力をつけることで流涎を軽減できます。また、口の感覚を高めていくには口腔内を清潔にすること、口を使った遊びが有効です。流涎のある児は細く長い息を吹くことが苦手で、短く息を吐き出し一緒に唾液を飛ばすことがよく見られます。遊びの中で無理なくブローイングを取り入れることも流涎の減少につながる可能性があります。吹き戻しを吹いたり音のなるおもちゃを吹く、水で溶いた絵の具をストローで吹く吹き絵など、楽しく取り組める遊びもあります。ご家庭で取り組んでみてはいかがでしょうか。

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