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  • NS渡辺

乾燥とウイルス

ウイルスは、非常に小さな病原体です。大きさはインフルエンザウイルスで直径0.08~0.12μm(マイクロメートル:1mの100万分の1)で、電子顕微鏡がないと見えません。自分では細胞を持たず単独では長時間生存できないため、ほかの生物の細胞に入り込んで生きています。また、ウイルスは空気中では増殖できず、生物の細胞に侵入し、細胞内のたんぱく質などを利用して自分のコピーを作ることで増えていきます。人体で増えたウイルスは、咳やくしゃみの際に飛散する飛沫や体液などにのって体外に飛び出し、またほかの生物の細胞に入ります。こうして感染が広がっていくわけです。


・低温、乾燥した環境では空気中のウイルスが増加しやすくなる

ウイルスは、生物の細胞外では長く生きられませんが、短時間であれば生存が可能です。その生存率に大きな影響を与えるのが、空気中の温度と湿度です。


・ウイルスの感染経路

ウイルスが人間の体内に入る主な経路としては、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」「経口感染」の4つがあります。

空気感染は、くしゃみや咳などによって体外に飛び出し、空気の流れにのって拡散したウイルスをほかの人が吸い込むことによる感染です。

飛沫感染は、ウイルスが咳やくしゃみの飛沫に包まれて空気中に飛び出し、近くにいる人がそれを吸い込むことによる感染です。

接触感染は、感染者の皮膚や粘膜にふれたり、ウイルスがついたものをさわった手で自分の鼻や口、目などにふれたりすることによる感染です。

経口感染は、ウイルスに汚染された食べ物や飲み物を口にすることによる感染です。


ウイルスの多くは、人間の場合、喉を通って体内に侵入しますが、人体にもウイルスの侵入を防ぐ仕組みが備わっています。それが、喉の粘膜に生えている「線毛」です。線毛は普段から、「線毛運動」と呼ばれる波のような動きをしています。鼻や口から侵入したウイルスは線毛の表面にある粘液の層に付着し、線毛運動によって体外へと送り出される仕組みです。しかし、体に水分が不足しているとこの線毛運動の機能は低下してしまいます。

冬場はウイルスが増加しやすくなる低温・低湿度の環境に加え、汗をかかず皮膚や呼気からの水分がほとんど蒸発されるため、自覚のないままに体内の水分が不足しがちです。

これらの条件が重なることで、冬場はインフルエンザをはじめとする感染症が流行しやすくなるのです。

ウイルスの体内への侵入を防いだり、人に感染させたりするのを防ぐには、マスクの着用が有効です。部屋の乾燥を防ぎ、ウイルスを増加させない環境を作るのに有効なのが、加湿器を使って湿度をコントロールすることです。室内の湿度が高すぎてもカビや結露の発生につながるので、40~60%に調整することが最適とされています。


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