top of page
  • ST松尾

口渇と薬について

唾液の分泌は、副交感神経から分泌されるアセチルコリンによって促進されます。したがって、いわゆるアセチルコリンの働きを抑えてしまう抗コリン作用をもつ薬は、唾液分泌を減少させ口腔の乾燥を起こし食塊形成に時間がかかり、食物を動かすことも抑制されるため、嚥下にも影響を及ぼします。


精神神経系を抑制して摂食・嚥下障害を起こす可能性のある薬は、このほかにも抗うつ薬や抗てんかん薬が挙げられます。止めることの難しい薬ですが、抗うつ薬はたくさんの薬があるので他薬への変更を考えたり、抗てんかん薬は適切な投与量かを確認したりする必要があります。


抗コリン作用をもつ薬はたくさんあります。抗ヒスタミン作用といって風邪をひいた時に鼻汁を抑える薬やかゆみを抑える薬も抗コリン作用をもっています。クロルフェニラミン(ポララミン®)やシプロヘプタジン(ペリアクチン®)などです。高齢者は皮膚の水分量が減少して「かゆみ」を訴える方も多く、軟膏などとともに抗ヒスタミン剤が使われる機会が多いと思います。


また胃の痙攣やゴロゴロしたといった症状に使われるブチルスコポラミン(ブスコパン®)や排尿障害治療薬であるオキシブチニン(ポラキス®)、ソリフェナシン(ベシケア®)、イミダフェナシン(ウリトス®)、不整脈に使われるジソピラミド(リスモダン®)、シベンゾリン(シベノール®)、三環系や四環系抗うつ薬に分類されるイミプラミン(トフラニール®)やアモキサンなども抗コリン作用があります。唾液自体を減らす病態には高血糖や高カルシウム血症などもありますが、薬ではフロセミド(ラシックス®)やトリクロルメチアジド(フルイトラン®)といった利尿剤も唾液自体を減らすことから同様の注意が必要だといえます。


口腔内の乾燥は嚥下と密接に関わるため、気になる方は主治医、薬剤師へ相談をしてください。


最新記事

すべて表示
bottom of page