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  • NS田中

胃ろうのケアについて

今回は胃瘻挿入中の方の日常的なケアについてお話していきます。まず胃瘻とは、腹部に小さな瘻孔を作り、管を通して栄養剤を注入する方法です。右図のような4種類の形があります。さまざまな種類がありますが、基本的なケア内容は同じです。大まかに分けて考えていきましょう。


【固定について】バルーン型の場合、固定水は自然ン位減少し固定が甘くなります。1-2週間に1回は固定水の量を確認と交換をしましょう。また、生理食塩水や水道水は変質して抜けなくなることがあるため、必ず蒸留水を使用しましょう。【スキンケア】胃瘻部周囲は様々な刺激が加わります。栄養剤、内服薬、胃液や腸液の漏れや付着、ストッパーやカテーテルによる圧迫や摩擦、また漏れによるただれは、さらに漏れ成分を吸収し皮膚状態を悪化させてしまいます。これらの刺激により皮膚トラブルを起こしやすいため、1日1回は洗浄しましょう。洗浄剤には弱酸性の物を使用するとよいでしょう。洗浄剤の成分が残っていると、栄養剤、粘液や汗と混じって化学反応が起きてただれの原因になるので、しっかり洗い流しましょう。洗浄が難しい場合は、拭き取りのみで洗浄効果、保湿効果のある洗浄剤を使用するのも良いでしょう。また、圧迫や摩擦を防ぐためYカットガーゼやこよりで保護するとよいです。【口腔ケア】胃瘻を使用している方は嚥下状態が悪い場合が多いため、唾液の誤嚥は誤嚥性肺炎を起こすリスクにつながります。口腔ケアを行い、清潔に保つことで肺炎を起こすリスクが減るため毎日口腔ケアを行うようにしましょう。

次に場面別にトラブルの対応についてみていきましょう。

【下痢、腹痛、嘔吐が起こってしまった!】適切な注入速度であるか、医師の指示である栄養剤の種類、濃度であるか、適切な温かさか確認します。また、胃を圧迫しないように注入時、上体が起きているかすべて確認し、それでも治らない場合は、注入を中止し胃や腸を休めることもあります。


【胃瘻挿入部から栄養剤や胃液、腸液が漏れ出してきてしまう!】カテーテルのサイズが適しているか、投与速度が速くないかを確認します。ガスや栄養剤で胃内が満たされている場合あふれ出ることがあるため減圧しましょう。それでも漏れてきてしまう場合、こよりを巻いて漏れ成分を吸収させましょう。こまめに交換することも大切です。ただし、必要以上に厚く巻いてしまうと圧迫してしまうため注意しましょう。


【肉芽ができてしまった!】まず予防としては瘻孔に刺激が加わらないよう、ストッパーを緩める、カテーテルを垂直に固定する、カテーテルを引っ張らないなどの対策があります。それでもできてしまった場合、ステロイド軟膏を使用するとよいです。ステロイドの血管収縮作用を利用し、過剰肉芽への血流を抑えることで肉芽の成長を抑えられます。


【チューブが抜けてしまった!】意識状態が悪かったり幼いお子様の場合、チューブを引っ張ってしまったり、固定水が自然に抜けていたり、チューブが引っかかってしまうなどのトラブルでチューブが抜けてしまうこともあるかと思います。予防としては、目に入らないようにタオルや腹巻などで保護するとよいでしょう。抜けてしまったら、胃内容物が腹膜へ漏れ出して腹膜炎を起こすリスクもあるため、瘻孔の損傷程度を確認し、すぐに医師に連絡しましょう。


以上が日常的なケアの基本になります。食事を楽しみにしている方も多いと思います。その食事が入る部分になりますので、こまめに観察しトラブルなく過ごせるようにしていきましょう!



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