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ST松尾

とろみ剤の正しい使い方

嚥下障害(飲み込みがしにくい)を疑われる方の食事や水分摂取に「とろみ剤」を勧められることがよくあります。

とろみ剤はドラックストアや通販などで簡単に手に入るため安易に使われがちですが、実は使用には十分な注意が必要です。

なぜなら、とろみのつけ過ぎはかえって誤嚥を招く恐れがあるからです。


とろみにより食べ物や飲み物の粘度が増し、喉に送られる速さがゆっくりになると、嚥下反射に遅れがある人でも誤嚥しにくくなります。

つまり、とろみをつける目的は食べ物が喉へ入るスピードを遅らせることなのです。

また、とろみ剤によって飲み物や食べ物がまとまるので、飲み込みやすくなる効果もあります。

このように、嚥下障害のある方に効果がある「とろみ」ですが、適当にとろみ剤をまぜてしまうとかえって危険が増すこともあります。


とろみをつけ過ぎると、液体の粘度が増して喉に貼りつきやすくなってしまいます。

この喉に食塊が貼りついて残ることを「咽頭残留」といい、誤嚥の原因になります。

そのため、とろみのつけ方には十分注意が必要です。


とろみの程度は日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下分類で大きく3段階に分けられます。

薄いとろみ・・・スプーンを傾けるとスッと流れ落ちる

中間のとろみ・・スプーンを傾けるととろとろと流れる

濃いとろみ・・・スプーンを傾けると形状がある程度保たれ、 流れにくい


また、とろみは対象によってとろみのつき方に違いがあります。

これは食べ物や飲み物の種類によってとろみ剤が水分を吸収する時間が違うからです。

例えば、水やお茶などの混ざりものの少ないものは、とろみ剤の吸収が早いため入れた直後からとろみがつきます。

しかし、スープやみそ汁などの混ざりものが多いものは水分の吸収が遅いため、とろみがつくのに時間がかかります。

スープやみそ汁は混ぜた直後はゆるくても、時間がたつと硬くなりすぎてしまう場合があります。

そのため、混ぜた直後ではなく、10分ほどたってから再度硬さを確認するとよいでしょう。


いかがでしたか?

簡単に手に入る「とろみ剤」ですが、その特徴を知らずに使ってしまうとかえって危険な場合もあります。

まずは嚥下面に関して不安を感じたら、専門家に相談しましょう。

その上で「とろみ剤」についての理解を深め、正しく使っていくことが大切です。


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