点滴は訪問医療で医師や看護師が行うことができる医療行為の一つです。
老衰末期や末期がんなど何らかの原因で経口から食事を撮る事が難しくなってきた利用者さん、脱水や感染症で一時的に点滴が必要となった利用者さんに行なわれます。
在宅で行う場合は主に皮下点滴と静脈点滴があります。今回は皮下点滴について説明していきます。
●皮下点滴とは?
皮下組織の厚い部位(腹部や大腿部、上腕外側など)に穿刺することが多いです。認知症で抜去してしまう恐れのある方は背中に行う場合もあります。
関節や骨の突起部分・腫瘍部位、感染が疑われる部位は穿刺を避けて行いましょう。
〇皮下点滴のメリット
高齢になると末梢血管が見えずらかったり、すぐに血管外に漏れてしまったりします。何回も刺し直すのは苦痛を伴いますが、皮下だと漏れる心配はなく静脈点滴に比べ安全に行うことが出来ます。
また、在宅では病院とは異なり抜去し、何かあった時にすぐに駆け付けられる場所にはいない為、せん妄等で点滴を抜去されても出血しないため安全です。
医療知識に乏しい家族であっても、管理が容易。
皮下に入れて吸収されるのを待つ形なので過剰輸液の心配は少ない。
×デメリット
点滴の投与速度が制限されるため急いで投与する場合や大量に投与する場合には不向きです。
使用できる薬剤に制限があります。(可能薬剤:補液・インスリン、オピオイド、ビタミン剤)
皮下点滴の適応外は浮腫が著明、うっ血性心不全、出血傾向がある場合は適応外となる。
●では実際のやり方を紹介していきます。
①穿刺部位を決めます。(腹部か肋間を選択することが多いです)
※認知症等で自身で抜針してしまう危険の高い人は背部等も選択肢に入れましょう。
②刺入部部位をアルコール綿で拭き皮膚を摘まみ上げます。
③24Gまたは22Gのサーフロ針を浅い角度(10度~30度の角度)で穿刺します。
④接続する部位を持ち内針を抜いていきます。
⑤輸液のルートと接続し、ルート部分を仮止めします。
⑥滴下しているかや滴下速度、刺入部の状態等を確認します。
⑦滴下良好で刺入部の状態も問題なければ刺入部の上に透明フィルムを貼ります。
⑧仮止めしたルートをループを作るようにし、再度貼り直します。
⑨輸液ルートを作れたら滴下速度の調節をします。
※点滴の滴下速度は皮膚の吸収具合によって変わってきます。
滴下がゆっくりになった場合や止まりそうになってきた場合は腫れた皮下組織をマッサージすることにより落ちるようになることもあります。
点滴終了まで近くにいることが難しい在宅では、ご家族の負担とならない場合には上記の方法を説明し協力して頂くことも在宅医療のポイントです。
利用者さんが感じる苦痛を出来るだけ少なく穏やかに家族と共に過ごす一つの手段とも言えます。ぜひ皆様の参考にしてみてください。
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