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NS吉岡

褥瘡の症状と予防について

褥瘡(床ずれ)という言葉を耳にしたことはありませんか?褥瘡とは、寝たきりの状態によって、体重で圧迫されている部位の血流が悪くなったり滞る事で、皮膚に障害を起こした状態です。病院とは違い、在宅では、介護する家族が一番身近な存在になるため、褥瘡を見つける事が多いと思います。褥瘡は、傷が深くなる程、感染に対する抵抗力も低くなり、治癒するまでの期間も長くなります。今回は褥瘡の症状や治療、予防についてお話ししていきます。


■褥瘡の確認方法

皮膚に発赤が見られたら、それが持続する発赤なのか一時的な発赤なのかを確認しましょう。指で赤くなっている部分を3秒圧迫し、色の変化があるか確認します。押した時に白く変化する場合は、褥瘡ではありません。押しても赤みが消えず、そのままの状態であれば初期の褥瘡の可能性があります。

また、赤みを発見したら、その部位が圧迫されないように体の向きを変え、30分後再度観察してみて下さい。赤みが消えない場合は、褥瘡の可能性があります。


■症状

①初期(褥瘡ができてから1〜2週間の時期)

皮膚の赤み、内出血、水ぶくれなどが見られる。痛みを感じやすい。赤み程度の褥瘡であれば、治療にて1〜2週間程で治癒する。


②慢性期

皮膚症状の悪化が進行し「浅い褥瘡」や「深い褥瘡」が形成される。痛みを感じにくい。

「浅い褥瘡」:皮膚の表面の表皮のすぐ下にある真皮にとどまるもの。

「深い褥瘡」:皮下組織まで及ぶもの。表面が黄色や黒くなる。


■治療

①浅い褥瘡

・褥瘡には触らないようにしましょう。褥瘡に向けて、周囲からマッサージしたり、ホットタオルなどで周囲を温めると血行促進され悪化を防ぐ事に繋がります。

・発赤や紫斑は、皮膚の保護と適度な湿潤環境を保つため、ドレッシング材を使用しましょう。皮膚状態を観察できるよう透明のドレッシング材を選びましょう。

・水疱は、基本的に破らないようにします。水疱もドレッシング材を用いる事が多いです。著しく緊満しているものは、穿刺して中身を排出した方が治癒が早いと言われているため、早めに医師に相談しましょう。破れた場合、二次感染を防ぐため、抗菌作用のある外用薬やドレッシング材を使用します。

・びらんや浅い潰瘍(表皮が剥がれた状態)にも、ドレッシング材や外用薬を使用します。


②深い褥瘡

・新しい皮膚を再生させる働きのある外用薬を使用します。外用薬で対応できない壊死組織は、メスなどで取り除きます。


フィルムの種類や外用薬は医師や看護師に相談しましょう。


■褥瘡予防

①体圧分散

柔らかいマットレスを使用した方が圧力がかかりにくいです。また体圧分散寝具の使用も効果的です。同一部位の圧迫を避けるため、2〜3時間おきに体位を変えてあげます。クッションなどを使用して、できるだけ広い接触面積で姿勢を保てるように体を整えます。洋服のしわによる圧迫にも気をつけましょう。


②スキンケア

皮膚が乾燥していると、傷つきやすいため褥瘡ができやすいです。入浴や清拭後に保湿クリームを使用し、全身保湿をします。皮膚が汚染されていると褥瘡ができやすいため、清拭や入浴をしたり、こまめにおむつを交換し皮膚の清潔を保つ事が大切です。


③栄養管理

栄養状態も褥瘡に大きく関与しているため、バランスの良い食事と適度な水分補給が大切です。その人に合った食形態を選びましょう。


褥瘡は予防する事が可能です。褥瘡ができてしまうと、なかなか治らず感染リスクもあり、また苦痛を伴います。医師や介護に携わる人々と協力し、予防や悪化の進行を防ぐ事が大切です。


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