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18トリソミーについて

○18トリソミーとは、先天性心疾患や消化器系の疾患など内臓に複数の合併症を有し、重度の成長障害および重度の精神運動発達遅滞を有する染色体異常症候群です。21トリソミーの次に多い染色体異常で生命予後かつ発達予後不良の疾患です。頻度としては3~4:1と女児に多いです。


〇病因〇

18番染色体が1本多いことが原因です。これは、精子あるいは卵子が形成される際(減数分裂という)、染色体の不分離によって、通常なら1本であるはずの18番染色体が2本になった精子、あるいは卵子が形成されて受精することが原因です。この不分離は、私たちにある一定の頻度で、常に起きていますが、出生時の母親の年齢が上がるにつれて少しずつ上昇するということが知られています。また、18トリソミーにはいくつかのタイプがあります。減数分裂が正しく行なわれなかったために発生したものを「標準型」、正常な細胞と異常がある細胞の両方が混ざったために発生したものを「モザイク型」と呼びます。モザイク型は症状や身体的特徴が軽度になる傾向がありますが18トリソミーの患者に95%は標準型です。


〇診断〇

染色体検査で確定となりますが、出生前の超音波検査(子宮内発育遅延、小脳低形成、心疾患)や嚥下不良による羊水過多でほとんど出生前に疑うことができ羊水染色体検査で診断可能となります。


〇からだの特徴〇

・目鼻口が小さくまとまり小顎症・手足の屈曲拘縮・揺り椅子状の足底・耳介低位・後頭部突出ほか、指の重なりや爪が小さかったり短い胸骨などがあげられます。


〇合併症〇

約9割に子宮内発育遅延と先天性心疾患があります。そのほか、

・消化管(鎖肛、食道閉鎖、腸回転異常)・腎尿路系疾患(腎嚢胞、馬蹄腎、水腎症)・停留睾丸・多発性関節拘縮・難聴・橈骨側低形成・無形成(母指欠損)・二分脊椎・口唇裂・肝芽腫などがあげられます。


〇治療・予後〇

・合併症に応じて治療は異なりますが、出生後まもなくの新生児期には、心疾患の治療、中枢性無呼吸、気道の異常や低換気に応じて呼吸サポート、消化器疾患の治療、栄養の確立があります。また、体温調節異常があり体温変動が大きいお子さんが多いので体温管理も重要となります。乳児期以降は、経管栄養や胃瘻の考慮、胃内食道逆流と誤嚥の評価やけいれんへの対応、リハビリなどがあげられます。治療は個々の赤ちゃんの全身状態を考慮して、その目的をご家族と十分に話し合った後に行ないます。

・18トリソミーの1年を超えての生存率は10~30%とされていますが、生後2-3週間に無呼吸がないこと、6か月以上生存すると、さらなる生存が期待されるという報告もあります。発達を発達をみると、一人で座ることができるのは3歳ごろですが、歩くことは困難なことが多いです。言葉を話すことは難しいですが、家族をよくわかって笑ったり、年齢とともにサインを使うことも可能で、ゆっくりですが生涯を通して発達していきます。


〇支援団体〇

国内では18トリソミーの会、北米ではS.O.F.T(support,organization for trisomy18.13.and related disorders)があります。


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