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  • NS田中

在宅酸素療法について

今回は在宅酸素療法について話します。

在宅酸素療法とは慢性呼吸不全など持続的な酸素需要がある場合において、疾患の治癒ではなく安定した状態を維持し、QOLを向上させる目的で長期にわたり自宅で酸素吸入を行うことです。Home Oxgyen Therapy、HOTと呼ばれます。

適応となる疾患は、慢性呼吸不全、肺高血圧、慢性心不全、チアノーゼ型先天性心疾患などさまざまです。


在宅酸素の装置についてお話します。それぞれの機器には以下のようなメリット、デメリットがあります。それらを踏まえ、場面に合わせた機器選択をする必要があります。

・酸素濃縮装置

空気の90%を占める窒素を取り除き、酸素濃度90%以上の高い濃度の酸素を送ります。

メリット→電源があればどこでも使うことができる。操作が簡単。酸素ボンベのように交換の必要がない。

デメリット→電気代がかかる。停電時には使用できない。装置の持ち運びができないため、外出時には酸素ボンベが必要となる。

・酸素ボンベ

酸素濃度装置を使用する方の携帯用として使用します。

メリット→外出時や停電時に使用できる。専用のキャリーカートやリュック、ショルダーバッグがあり持ち運びが可能。

デメリット→定期的にボンベの交換が必要。

・液化酸素装置

-183℃以下に冷やされた液体酸素を少しずつ気化することで限りなく100%に近い濃度の酸素を送り出します。

メリット→外出時や停電時に使用できる。

デメリット→携帯用の子容器への酸素の詰め替え作業が煩雑。重量があるため持ち運びに体力的負担が大きい。


次は注意点とケアのポイントについてです。

・火気厳禁

酸素は燃え方を早くする助燃性があるため近くで火を使用することは厳禁です。線香の火、ろうそく、タバコ、電気ストーブなどを近くで使用しない、コンロが近くならないようにする、直射日光が当たらないようにするなど環境整備が必要となります。目安としては火器類からは2m以上離してください。また、備えとして消化器を近くに置いておくと安心です。

・バッテリー

酸素濃縮器を使用している場合、停電時に備えて非常用バッテリーを内蔵したタイプにしたり、液化酸素装置を予備で用意したりします。

・皮膚トラブル

チューブがあたり耳や頬の皮膚トラブル、小児ではテープ固定する場合も多いためテープかぶれなどを起こす場合も多いです。チューブが当たる部分はガーゼで保護したり、清潔に保って保湿するなどケアが必要です。テープ固定する前に皮膜剤を使って保護する方法もあります。

・加湿

3L以上の酸素投与時に加湿することになっていますが、3L以下の場合でも季節などにより気道粘膜が乾燥しやすい場合、加湿が必要となります。痰が硬くなり出しづらい状況にもつながるため、加湿器を使用する、水分をこまめにとったりネブライザーを使用するなど乾燥しないよう心がけましょう。

・流量

医師の指示に従って必要以上の酸素投与はしないようにしましょう。疾患によっては、高濃度酸素が投与されることによって呼吸の自動調整機能が破綻し、CO2が体内に貯留することで呼吸抑制・呼吸停止、意識障害を起こす場合があります。(=CO2ナルコーシス)




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