血圧の“上”と“下”は何を意味するか知ってますか?
- NS五十嵐
- 9月8日
- 読了時間: 3分
健康診断や普段の生活で血圧を測ったとき、「ちょっといつもより高いけれど受診した方がいい?」「どのくらいの値が正常?」「高いってどういうこと?」と思ったことはありませんか?今回は血圧の“上”と“下”が何を意味するのかについてお話しします。
■“上”の血圧は心臓が送り出す勢い
“上”の血圧は、「収縮期血圧」といいます。これは、心臓がギュッと縮んで全身に血液を押し出すときに、血管にかかる圧力です。簡単に言うと、心臓のポンプ機能の力強さです。心拍数やストレス、活動によっても変化します。運動中や緊張しているときは高くなりやすく、リラックスしているときは低くなります。
血圧が高すぎると、血管の壁に圧力、つまり負担がかかり、これが長期間続くことで動脈硬化や心不全のリスクが高くなります。
■“下”の血圧は血管のしなやかさ
“下”の血圧は、「拡張期血圧」といいます。これは、心臓がギュッと縮んで戻った後、次の拍動(ギュッと縮む動き)の準備をしている間の圧力を表します。このときに血液は血管を通って体の隅々まで流れ続けています。つまり、下の血圧は血管のしなやかさや血液・血管の状態(血管内のコレステロールや血液のドロドロなど)を反映しています。
血管が硬くなったり、血液の流れが悪かったりすると、この数値が上がってきます。下の血圧が高めの人は、加齢や塩分の摂りすぎ、運動不足などが影響していることが多いです。
■一般的な正常値は?
血圧は常に変動し、活動、不安や緊張などの影響を受けやすいです。
高血圧管理・治療ガイドライン(2025)では、家庭血圧の目標値が年齢を問わず125/75mmHg以下とされました。ただし、持病や状態によっては適正値が異なる場合があるため、かかりつけの医師と普段の血圧の値と目標の血圧の値を共有しておきましょう。
■受診の目安は?
・上が140mmHg以上、または下が90mwHg以上が数日〜1週間以上続く
・頭痛、眩暈、耳鳴り、肩こり、動悸などの症状がある
・家族に高血圧、脳卒中、心臓病を患っている方がいる
・血圧の変動が大きい
これらを認める場合には、かかりつけ医を受診しましょう。
血圧が急激に上がり、激しい頭痛、眩暈、吐き気・嘔吐、視覚異常(かすみ目・急激な視力低下)、意識障害(反応が鈍い)、息切れ、胸痛、手足の痺れや脱力を認める危険な状態を「高血圧緊急症」といいます。この場合には速やかに救急受診が必要です。
■高血圧を放置するとどうなる?
高血圧は「沈黙の病気」とも呼ばれます。自覚症状がないまま、静かに身体にダメージを与え、脳梗塞・脳卒中、認知症、心筋梗塞・狭心症、心不全、慢性腎臓病などの病気につながるリスクがあります。
■高血圧の予防・早期発見のアドバイス
・定期的な測定:毎日同じ時間に血圧測定することをお勧めします。
①起床後のトイレを終えた後、②寝る支度を終えた寝床に入る前の1日2回測定しましょう。今から血圧を測る習慣をつけておくことは、今後の身体の変化にも気が付きやすくなります。
・減塩:高血圧の方の食事療法では1日の塩分は6g未満が目安とされます。
・有酸素運動:ウォーキングや軽い体操を1日30〜40分、週に3〜4回行いましょう。運動強度の目安は「話しながらできる程度」です。
・十分な睡眠:寝不足も血圧があがる要因になります。
・禁煙・節酒:タバコとお酒は血管を傷めます。
■最後に
高血圧は、今は何も症状がなくても、放っておくと、後から大きな病気につながるかもしれません。だからこそ、「ちょっと高いな」「不安だな」と思ったときにはかかりつけの医師や看護師に相談しましょう。「今後のために生活を少し整えてみようかな」と思えたら、それはとても素敵な第一歩です。これをきっかけに自分の体調や生活を見直してみましょう!




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