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  • NS橋爪

母乳の成分と特徴について

母乳は新生児や乳児にとって最適な栄養で、新生児の未発達な消化管機能や消化酵素に合わせた組成であるとともに、成長に必要な成分が効率よく吸収できるようになっています。

また、生理活性物質、感染防御因子や成長因子も母乳にはたくさん含まれていまさはさ。さらに、白血球やリンパ球が含まれるとともに、前乳と後乳、母親の食事や細菌環境などによっても成分が変化します。


母乳の主な成分は、蛋白質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル微量元素・その他(白血球、サイトカイン、ヌクレオチド)です。

最初の2~3日: 赤ちゃんが生まれたあとに乳房が作る初期のミルクは初乳と呼ばれます。この濃くて粘性がある母乳は、黄色またはオレンジがかった色であるという理由からだけでなく、まだ弱い新生児に栄養を与え、その新生児を守るのに重要であるという理由から、しばしば「黄金の液体」と呼ばれます。初乳は非常に消化しやすいものでもあります。また、量は少ないですが、質で補っています。初乳には後の母乳に含まれるものと同じ成分が含まれています。ただ、新生児のニーズに合わせて特別に作られているため、各成分の量だけが異なります。


例えば、初乳は天然のワクチンと呼ばれることがありますが、これは抗体と白血球の値が非常に高いためです。子宮という安全な場所を離れたあとも赤ちゃんを感染症や疾患から守れるように、最初の母乳にはこれらが含まれている必要があります。

初乳の保護機能は赤ちゃんの消化器系にとっても重要です。赤ちゃんは 腸の内膜の透過性が高い状態で生まれるため、 初乳がこれをコーティングして封をします。


初乳はミネラルやビタミンも豊富で、ビタミンA、E、およびKの濃度は成乳よりも高いです。初乳に含まれるタンパク質の割合も成乳より高いです。

2~3週目: 5日目から14日目の間、母乳は移行乳と呼ばれます。

その名前のとおり、初乳から成乳に変化しています。移行乳は色と質感がクリーム状になり、脂肪分、カロリー、ラクトース(天然の糖類)の値も高くなり、急速に成長する新生児のための理想的な食べ物になります。ただし、母乳はまだ、赤ちゃんの健康を維持するために防御抗体、生細胞、「良い」細菌やその他の生理活性成分で満たされています。


4週目以降: 成乳

赤ちゃんが4週目になる頃までに、母乳は完全に成乳になります。

成乳は、赤ちゃんの健康的な成長と発達をサポートするために、タンパク質、糖類、ビタミンおよびミネラル、さらにホルモン、成長因子、酵素や生細胞などの膨大な数の生理活性成分を豊富に含んでいます。


4週目から、母乳成分の栄養含有量と値は一般的に極めて一定に保たれます。しかし、母乳の成分はそれでも日々、そして授乳のたびに変化することがあります。

例えば、母親または赤ちゃんが体調を崩すと、母親の身体は特定の病気と戦うための抗体を作り、これが母乳の一部となります。また、驚くべきことは、赤ちゃんが周りの世界の探検を始めて口におもちゃを入れるようになると、母乳に含まれる細菌と戦う保護酵素の値が上昇します。このような母乳成分の変化から、母乳が赤ちゃんの変化するニーズにいかに適応しているかが分かります。


・6か月以降の母乳成分

鉄分などの一定の栄養素のたくわえを補強するために6か月目に離乳食を始める乳児が多いですが、母乳は依然として赤ちゃんの食事の大部分を占めています。

例えば、赤ちゃんは7か月目のとき、カロリーの93%を母乳から摂取します。11~16か月目の間でも、一日あたりのカロリー摂取量の半分近くは母乳からです。

改めて、母乳は赤ちゃんにとって大事な栄養ということがわかりますね。


今日は以上となります。

次回は母乳の管理についてお話できたらと思います。


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